仕事中に眠すぎて死にそうになるので過眠症の検査を受けた話。

不眠症といえば深刻な顔をするのに、過眠症の辛さは分かってもらえないのがやりきれない。

過眠で悩んでいた私が睡眠外来で検査を受けたときの話を書きます。

 

 

昼間どれくらい眠いのか

昔から授業中によく寝てしまった。
同世代より睡眠時間は多いし、夜もぐっすり眠れるのに、だ。
文化部だから日中にひどく疲れているわけでもなかった。

学生のうちはまだ良かったのだが、それは社会人になって深刻な悩みとなった。

睡眠時間は6~7時間と至って平均的。夜も問題なく眠れる。
なのに、仕事中に寝てしまう。


それも意識を失うように寝てしまう。
自分が眠いのだと認識する前に意識が飛んでしまうのだ。
フリスクに手を伸ばす余裕すらないほど瞬時に寝てしまう。

デスクワークならまだしも、大事な会議や打ち合わせも寝てしまう。
仕事中立っていても寝てしまうし電話しながら会話の途中で寝てしまう。

私にとって眠気は生理現象で、自分では全くコントロールできない。
しかし、周りはそう思ってくれない。

決してやる気がないから寝ているわけではないのに、「気合が足りない」とか「眠いのは皆一緒だから我慢しろ」とか言ってくる人がいる。
お前はクロロホルムを嗅がされても意識を保てるのか。

むしろ大事な仕事中も寝てしまって後ろめたい気持ちでいっぱいだし、情けなくなる。罪悪感にさいなまれている。
なのに、そんな気も知らずに勝手なことを言われるのが辛い。


前々から過眠症の気があると思っていたので、病院で検査を受けることにした。

診断書があれば会社からも理解が得られるかもしれないし、病院から処方薬をもらえるかもしれないし。

検査は泊まり込みで2日間、費用は2万円近くかかる。新入社員には痛い金額。それでもどうにかしたかった。

会社に検査入院をすると伝えたときも、
「寝すぎるのって病気なの?」などと言われた。
本当に理解が浸透していなんだな、と悲しくなった。

 

 

過眠症の検査

ナルコレプシー・過眠症の診断には以下の二種の検査を受ける。

睡眠ポリグラフ検査…夜眠りにつく際の脳波を計測するもの。

MSLT( 睡眠潜時反復検査)…日中の眠気をモニタリングするもの。


検査の前に2週間~1か月くらい睡眠日記をつける。
毎日の就寝時間と起床時間、日中眠気を感じた時間などを記載する。
その間は7時間睡眠を心がける。

 

いざ検査。

まずは睡眠ポリグラフ検査から。
夜に病院に行くと個室に案内され、頭に色々な器具をつけて寝る。
アルコールもカフェインを摂るのは禁止で22時に就寝。
朝は7時ごろ起床。

外で朝ご飯を取ったあと、続いてMSLT( 睡眠潜時反復検査)をする。
2時間ごとに4回~5回部屋を暗くしてベッドで30分くらい寝る。
部屋はテレビがあるくらいで、携帯をいじったり読書したり、普段より断然疲れない環境で過ごす。

 

 

診断結果

結果は「異状なし。この程度では過眠症とは診断できません」ということだった。
ただのロングスリーパーなのでもっと寝てくださいと言われた。
だから、診断書も薬も出せないと。

絶望だった。
長い間つらい思いをして、悩んで、自力ではどうにもならないから医療に頼ったのに、なんの手助けもしてくれないんだと。

医師の側の意見としては、薬を出すとなると覚せい剤レベルの強力な薬になるため容易に処方できないのと、睡眠に関しては現代の医療でも分からないことが多いため解決策がないことが多いとのことだった。

仕方ないのは分かるが、お前の努力が足りないんだと見放されたようで悲しかった。

 

だいたい、良く寝てくださいなんて簡単にいうけれど一般的な会社員には無理な話である。そりゃあ検査の日みたいにアルコールもカフェインも抜いて毎日9時間毎日寝られるなら苦労しないんだから。

仮に10時間寝ようと思ったら、21時には寝なければならない。

働いて帰ってきてご飯を作って食べてお風呂に入るだけで1日が終わってしまう。
洗濯や掃除は終わらないし、好きなことをする時間もない。
残業や付き合いがあればそれだけで寝る時間を超えてしまう。

そりゃあ毎日検査の日みたいに、毎日22時に寝て7時に起きて、日中は疲れることもせず部屋でゆっくり過ごしたら日中に眠くなったりしないわ。でもそんな生活無理ですよね?

結局、普通の人とは明らかに違うのに周りの理解も得られない“普通以上過眠症未満“のままやり過ごすしかないということだった。

 

 

 

自分なりの睡眠対策

医療では解決できないと知った今、自分なりにできることを模索している

まず、睡眠時間はなるべく8時間を確保する。普通の人よりも活動時間が少なくて損に感じるが、パフォーマンスが落ちてしまうからもうどうしようもない。

昼食は量と脂質を控えている。(脂質が多いと眠くなるらしい。)

会議や打ち合わせの前はドリップコーヒー(インスタントではないもの)を飲む。
それでも効かない時や出先でコーヒーを買えないときのためにカフェインの錠剤を持ち歩いている。常用していると胃が荒れるし肌も荒れるけど、太田胃散を飲んで頑張っている。
睡眠時間が短くていい人を心底うらやましいと思う。

 

 

検査を受けて良かったこと

ここまでボロクソに描いたが、良かったこともある。
それは諦めがつくことである。もう睡眠医学の進展を待つしかないと。

検査を受ける前、眠気は病気で自分では全くコントロールできないと思っていたので何も対策はしていなかったが、自力でどうにかするしかないと分かった今は睡眠時間をとれるよう工夫をしたりカフェインの力を借りるなど改善の努力をするようになった。

また、検査を受けたことで自分はこういう体質なんだと受け入れることができた。絶対過眠症なのに周りに理解を得られない!と悶々と悩んだままよりはいい。

 

 

 

案外おっさんも寝ているぞ! 

今ではだいぶ業務中に寝ることは少なくなったが、それでも寝てしまうときはある。だけどもう諦めている。

だってもう病院で検査もして自分でできることこれだけやっても寝てしまうのならこれは「体調不良」と思うことにしている。突如起こる腹痛とか貧血とか生理と同じだと。

何か言われたときは「最近夜寝れなくて…」とか「昨日体調悪くて寝れなくて」とか言っておく。

過眠症と言うとからかうくせに、不眠症というと心配されるから不思議である。
これは使わない手はない。

 

あと気が付いたのは、業務中に寝ている人は案外いるということ。
大きな会議やセミナーなんかだと、おっさんも実は寝ていたりする。
だから、寝てしまったからといってあまり罪悪感を持たないようにしようと思った。

 

まだまだ過眠症未満には生きづらい世の中なんだろうなーと思うが、もっと頑張っている人もきっといると思ってなんとか凌いでいる。

睡眠医学の発展と過眠症への理解が深まることを願っている。