オラファー・エリアソン ときに川は橋となる 感想・レビュー
東京都現代美術館の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」に行ってきました。
東京都現代美術館自体リニューアルしてからずっと機会を狙っていたのでやっと行けてよかったです!作品やその感想を紹介していきます。
混雑具合と所要時間
土日は入場待ちで並ぶ!って噂をきいたので平日の午前中に行きました。
チケットも入場も待機列はなくスッと入れたんですが
…思ったより人多い。
ぎゅうぎゅうではないものの、作品によっては見るのに滞留がおきる感じです。
自分のペースでサクサク進めるほど空いてはいませんでした。
一番人気(おそらく)の《太陽の中心への探査》の部屋は20人くらいが常にいるかんじ。
まあそれだけなら良かったんですが、私が気になったのは大学生がうるさいこと。
人気の展示だし、混んでいるとかカメラのシャッター音がうるさいとかはいいとしても(私も写真は撮るわけだし)大学生がきゃいきゃい騒ぎながらインスタに載せるための写真をパシャパシャ撮り、ポーズを決めながら何分も場所を動かないのはちょっと嫌だったなー。
平日だから落ち着いて見られると期待した私も悪いですが、せめて人の気が散らない音量でしゃべってくれ。あとスタッフさんも注意してくれ。と思いました。
待ちのストレスはないですが、平日でもそれほど空いているわけではなかったです。
所要時間は1時間半程度でした。
作品数が少なく会場も広くないのでサクッと周れます。
むしろセットで入れる「MOTコレクション いまーかつて 複数のパースペクティブ」の方が時間がかかりました。
作品紹介
オラファー・エリアソン《あなたの移ろう氷河の形態学(過去)》《メタンの問題》《あなたの移ろう氷河の形態学》
紙の上に氷河の氷と顔料をおいて氷から溶けた水を絵にしたものだそうです。氷河の氷が描いた絵は意図的ではないのにメッセージを感じさせます。
《太陽の中心への探査》
地中の洞窟にずっとある異次元の太陽みたいでした。
光を受けて輝くガラスや部屋に映し出される幾何学的な模様は、氷や水面のような自然界に潜むきらめきを感じさせます。
《あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること》
部屋には何色かのハロゲンランプがおいてあるだけだが、人が前を通ると様々な色が重なった影が現れるという作品。
完成した作品を人が見るのではなく、”見る人がアートの一つになる”という発想は現代アート的だなあと思いました。関係はないんだろうけど、高松次郎の影シリーズを彷彿とさせました。
《ときに川は橋となる》
暗幕で囲われた空間の中心に水を張ったシャーレがあり、12個のスポットライトが当たっています。そのライトが当たる部分の水の映像が空間の上部に映し出される作品。
不規則な水の揺らぎが連鎖していくの様子は圧巻で、ずっと眺めていたくなるような美しさでした。
《ビューティー》
人口の霧に光を当てることで虹が現れます。
しかし反対側からは霧しか見えません。
自然現象である”虹”を美術館で展示するのはなかなか面白い試みだと思いました。
《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》
1999年と2019年のまったく同じ場所の写真を並べることで氷河の変化を訴える作品です。
《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》 一部分
10年でいかに氷河が縮小しているか、地球温暖化の深刻さが分かります。
《都市の内側と外側》 パブリックプロジェクトの記録写真
トラックの荷台を鏡にして街中を走らせたプロジェクト。
仕掛けは単純なのに、そこだけ世界が切り取られたようになっていてとても不思議でした。
感想
美術展と科学展示がまざりあったような展覧会でした。
ラボの展示もあり、環境問題やサステナビリティの追求といった部分はアーティストというよりも学者に近いものを感じました。
氷河の現状を私たちの目の前に再現することで、今起こっている環境問題が遠い世界の話ではなくごく近くにあるものだと肌で感じることができます。
一方で鏡のトラック走らせたりと知覚に関する試みは既存の概念を見つめなおす発想の面白さがありました。(こちらの方が現代アートらしくて私は好きでした。)
自分たちが当たり前に見ているものを違う視点から捉える試みは、柔軟な発想にはっとさせられます。
なにより、光を使ったインスタレーションや動き楽しむ作品が多いため、写真だと魅力が伝えきれません!ぜひ実際に見てほしいです!
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」は東京都現代美術館にて2020年9月27日まで開催中です。ぜひ足を運んでみてください。