瀬戸内アート旅:はじめに/豊島美術館
はじめに
2016年に直島と豊島に行って、現代アートを巡りました。
その時の旅行は美術館が目的ではなく岡山の倉敷観光がメインで、友達が「島に行きたい」というので足をのばしたという感じでした。
もともと現代アートは好きだったのですが、その頃はとりあえず名前だけ知ってるから行ってみようとか、観光スポットだし面白そうだから行ってみようという動機でした。なにしろ瀬戸内が日本の現代アートにおけるキープレイスなことも知らなかった。
それが最近美術館に行くようになって、「あの人の作品だったのか!」とか「名だたる建築家が作った美術館だったのか!」とか、それらの価値をあとから知ることが多くて、ほんとにいい経験だったんだなと思う。
現代アートに詳しくない当時でもその旅は本当に素晴らしいと感じたし、また訪れたい場所がいくつもできました。
今回はそれらの瀬戸内アート巡りの記録を書いていこうと思います。
豊島美術館
その旅の中で一番感動したのが豊島美術館でした。こんなに美しい場所があるのかと。今まで見た中で一番好きな美術館になりました。
概要
瀬戸内海に浮かぶ豊島。その広大な棚田の中にしずかに佇む美術館。
アーティスト内田礼の作品《母型》が恒久展示されています。
設計は西沢立衛。SANAAとして〈金沢21世紀美術館〉〈ルーブル=ランス〉などを手掛けています。
棚田の中に落ちた巨大な水滴のような白い物体が豊島美術館。グレーの四角いファザードが入り口になっています。
靴を脱いで中に入ると、白く柔らかな空間が広がっています。
天井には丸い開口部があり、外とを隔てるものがないため自然の光が差し込み風が入ってくる。開口部の下には透明のビーズがついた細い糸がさがっていて、風に揺れています。
床には白いビー玉のような装置があり、小さな水滴が湧いては流れていく。ゆっくり流れるものもあればすーっと滑るように流れ、水たまりに合流するものもある。
心が研ぎ澄まされるような作品でした。うまく言えないけれど感覚に訴えてくる作品というか。コンクリートのなめらかな曲線・造形の美しさもさることながら、自然と調和しともに呼吸しているような空間がとても素晴らしかった。流れる水を見ているだけでいつまでもいられそうだと思いました。
無機質で、温かくて、柔らかくて、清潔で、鑑賞者を包み込むような空間と自然の中に溶け込むような感覚。これが内田礼さんのイメージする”母”なのかもしれません。
カフェ&ショップの造形もすてき。窓から自然光が差し込みます。
島の中でも高い場所に位置する美術館。
新緑の棚田と瀬戸内海が見渡せます。
また訪れたいな。