日本発のクレイジー集団『 Chim↑Pom:ハッピースプリング』感想・レビュー!
森美術館で開催されている『Chim↑Pom:ハッピースプリング』に行ってきました!
私がChim↑Pom(チムポム)を知ったのは、六本木で宮島達男様の《カウンター・ヴォイド》を見た帰りに通り向かいの蔦屋書店で現代アート関連の書籍を立ち読みした時でした。(立ち読みじゃなくて買えよって感じですが、、)
その本では確かスーパーラットが取り上げられていて「日本にこんなアーティストがいるんだ!作品を見てみたい」と思ったのを覚えています。その矢先にハッピースプリングの開催を知り、1年前くらいからずっと楽しみにしていました。
今回はそのレビューや混雑状況、印象に残った作品について書いていきます。
チケットは予約制!混雑状況・所要時間など。
まず、チケットですが感染対策の観点から日時指定の予約制となっています。
空きがあれば当日の窓口購入も可です。
私が行ったのは平日だったので、前日でも好きな時間を選べる状態でした。土日も比較的空きがあったので一週間前くらいの予約で大丈夫かと思います。
混雑状況について。
平日だったためそこまで混んでおらず、自分のペースでストレスなく回れました。ただ、(後述しますが)最初のいい意味でごちゃっとしたエリアや映像作品のコーナーは席数も少ないため土日だと混みそうです。ご注意を!
所要時間は2時間程度。映像作品・音声作品が多いのでじっくり見てまわると3時間くらいかかりそうです。
作品紹介。印象に残ったもの中心に
Chim↑Pom《ビルバーガー》
まず、会場に入って飛び込んでくる美術館らしくない景観。工事中の地下鉄か?というくらい低い天井。もうこの時点で面白い。じつはこの演出も作品の一部となっています。
以下、Chim↑Pomの作品です。表記を省略する場合がございます。
以下の写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利-改変禁止4.0国際」ライセンスの下で許諾されています。
《スーパーラット》
Chim↑Pom《スーパーラット》
駆除薬剤が効かない、進化したネズミをスーパーラットと呼ぶそうです。こちらはそのはく製やラット捕獲の映像を残した作品です。捕獲の様子はキャーキャー騒ぎながらもちょっと楽しそう(笑)
個人的なお気に入りは、このジオラマにそびえたつラット。こんなにかわいい顔でゴジラのごとく街を睥睨するネズミさん。その生命力と影響力をとても表している思います。
《ビルバーガー》
Chim↑Pom《ビルバーガー》2018年
廃墟ビルの床をぶち抜いて、そのまま下に落としてサンドイッチしたような作品。冷蔵庫の中身なんかがそのまま残っているのが人間味があってとても好きです。
街のビルたちもマ〇ドのバーガーのように作っては消費される存在なのか。そんなことをコミカルに訴える作品です。
オリンピックのためとはいえ、新宿や渋谷の再開発を見ているとなんだか切なくなるときもありますね、、、。
現代の抱える問題をアーティストの目線で享受できるのは現代アートのいいところだなあと思います。
《ブラック・オブ・デス》
Chim↑Pom 《ブラック・オブ・デス》
都会に生きるカラスの増殖とたくましさを感じる作品です。
この作品は映像作品なのですが、カラスが仲間を助けを求めるときの音声を拡声器で流し、国会議事堂や新宿御苑などにカラスを集めています。中にはフィクサー・ナベツネ邸なんかも。
東京にこんなにカラスがいたんや!という驚きと、「カァ!カァ!」という猛烈な鳴き声と、周囲の人の「なんか不吉やなあ」という表情が印象的でした。
《道》
Chim↑Pomは国立台湾美術館にて、美術館の外から内につながる道をつくりました。その道での「権利」は公道のルールとは異なり、Chim↑Pomとの協議のもと定められましたルールになります。例えば、「パフォーマンスとしてのデモ・飲酒はOK」「愛し合う二人の行為はOK」というような協議書が展示されています。一個一個読んでみるのもなかなか面白いです!
こちらも主に映像作品なのですが、エリイが台湾ビールのケースにのって拡声器で話していたときの小道具も展示されています。
本展では展示室が二層に区切られており、二階部分が《道》となっております。階段で行き来したりマンホールから顔を出すこともできます。ここでも様々なイベントが企画されているようです。
《オレオレ》
Chim↑Pom《オレオレ》
オレオレ詐欺が社会問題にされるなかで、逆オレオレ詐欺(見知らぬご老人にお金を振り込む)ということをした作品です。こちらの電話機の受話器を取ると、どこか温かいやりとりの会話の音声が聞こえてきます。こういう発想がとてもクレイジーで好きです。
《エリゲロ》
メンバーのエリイがピンクの液体を飲んでは他のメンバーのコールで吐く、という映像作品。楽しそうに吐くエリイがなんとも印象的。美術館?の白い一角がピンクの液体で染まっていくのがなんともシュールでした。
《性欲電気変換装置エロキテル6号機》
Chim↑Pom《性欲電気変換装置エロキテル6号機》
人の性欲を電気エネルギーに変換するという設定のマシン。新聞の三行広告に思わせぶりなコピーと電話番号を載せ、その番号に着信があると電気が光る仕組みとなっています。
《ゴールド・エクスペリエンス》
2012年、渋谷パルコに現れた巨大なゴミ袋。中はバルーンになっていて人が入って遊ぶことができます。ゴミを捨てる側の人間がゴミ袋のなかに入れられてしまうというユーモアあふれる作品です。
本展示会では時間入れ替え制で中に入ることができます。体験したい方はぜひお早めに現地で予約を!
《ヒロシマの空をピカッとさせる》
原爆ドームの上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を書いた作品。原爆の記憶を風化させないためのメッセージを斬新な手法で描いています。
《LEVEL 7 feat.『明日の神話』》
Chim↑Pom《LEVEL 7 feat.『明日の神話』》
渋谷駅にある岡本太郎の《明日の神話》の余白部分に、福島第一原子力発電所の事故を描いた絵を追加したゲリラパフォーマンス。
《LOVE IS OVER!》
Chim↑Pom《ラヴ・イズ・オーバー》
メンバーのエリイの結婚パレードをデモとして申請し、警察の許可を得て行った作品。歌舞伎町で飲んだくれたゲストと共に新宿アイランドタワーにあるパブリックアート《LOVE》を目指します。
「一般道でのパレードなんて天皇の結婚かオリンピック選手しかできないじゃん?」という固定概念をぶち壊した作品。一般人の結婚パレードを警察が警備しているのがなんともシュールです。
感想
Chim↑Pomの作品をしっかり見たのは初めてですが、発想がぶっ飛んでいて面白かったです。現代が抱える問題をユーモラスに描いていて、ルールの穴をつくような発想と行動力があって。
中にはこれはアートなの?と思う方もいるかもしれません。クレイジーな集団がバカやってるだけにも見える。そういった点では好みが分かれるかもしれません。
個人的にはこのポップでカラッとしたかんじが好みだなと思いました。東日本大震災など深刻なテーマを扱いながらも、重苦しくせずそれらを明るく昇華してくれる作品が多いのも良いと思いました。
『 Chim↑Pom:ハッピースプリング』は2022年5月29日まで開催です。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか!
再開!『僕のヒーローアカデミア展DRAWING SMASH』の感想・レビュー!混雑具合など。
ヒロアカ展に行ってきました!
緊急事態宣言で一時休業していたのですが、5/12から再開ということでやっと行くことができました。混雑具合や感想を書いていきます。
待ち時間・混雑具合(平日)
チケットが日時指定制のため事前購入必須です!
指定時間の少し前から列にならぶことができます。規制入場のため会場に入るまで並びますが、列がスイスイ進むのでストレスはなかったです。平日の午後に行ったのですが10分待ちくらいでした。
入れ替え制ではないので入場まで時間がかかっても焦らなくて大丈夫です!
混雑具合ですが、平日といえど人多いな!という印象でした。ただ、(どこの美術館もそうですが)はじめのエリアは流れが悪く渋滞しているのですが中盤くらいになると人がまばらになってきて快適に鑑賞できます。
動線は一方通行ですが逆流しようと思えばできなくはないので、空いているところから見るのもありだと思いました。
客層は圧倒的女子率でした。大学生~20代前半くらいの女子が大半を占めていました。
所要時間
私の場合渋滞していたのは最初のエリアだけで写真が撮れるエリアも並ばなかったため、ゆっくりめにまわって2時間くらいでした。土日になって人が増えるともう少しかかるかもしれません。
展示構成
入場ゲート
どーんとそびえるメインアートとコミックをコラージュしたゲートがお出迎えです。オールマイトをメインに様々なプロヒーローがいるので探してみましょう!
ゲートを入ると大きなモニターがあり、デクが雄英高校に入学するまでのダイジェスト動画を見られます。これがかなりテンション上がりました!
①雄英入学~A組vsB組 合同戦闘訓練編までの各編の原画
第1章では雄英高校入学から合同戦闘訓練までの原画が時系列で展示されています。バトルシーンを中心に構成されているので迫力満点です!好きなシーンを思い出しながら周れてとても楽しいです。
あとこのエリアに「トットコトコヤミ」なるちび常闇くんがいて可愛かったです。探してみましょう。
②雄英生の学園生活の原画(※ミネタ好きは必見!)
第2章ではデクたちの日常シーンを中心とした原画が展示されています。先ほどとは一転、柔らかいタッチでほっこりした絵が並びます。あと、扉絵のカラーアートがあったのが嬉しい!
展示の一角にはミネタくんのゲス発言をまとめた原画コーナーもあり思わず笑ってしまいました!
③主要キャラのパネルとエピソード原画。唯一の撮影スポット!
第3章ではヒーローチームとヴィランチームとキャラがお出迎え!各キャラにまつわるエピソード原画が展示されています。
ここは唯一撮影が可能なエリアです。推しと写真を撮りましょう!
※撮影は携帯電話・スマホ・タブレットのみで一眼やコンデジは不可。
・展示されているキャラクター
ヒーロー側:ミルコ、爆豪、お茶子、デク、轟くん、ホークス、エンデヴァー、切島、天喰、ミリオ、波動、最後に金ぴかのオールマイト像があります。
ヴィラン側:脳無、ステイン、トゥワイス、死柄木、荼毘、トガヒミコ、コンプレス、リ・デストロ、オール・フォー・ワン
神野での勝利のスタンディング。やっぱり好きだオールマイト…!
④神野のオールマイト対オール・フォー・ワン戦
第4章では神野区でのオールマイトとオール・フォー・ワンの対戦の原画が展示されています。コミックスでは伝わらないような細かいところまで書き込んである原画は圧巻!!より悲痛さだとか感情の揺らぎが伝わってきて少し泣きそうになりました。
EX.アニメのヒロアカ
こちらはテレビアニメと映画の展示エリア。アニメーションやコンテなどが展示されています。歴代テーマソングのコーナーもあって懐かしくなりました。
⑤名セリフとその原画
第5章では名セリフが書かれた垂れ幕が天井から吊るされており、下にそのシーンの原画が展示されています。ヒーローの力強いセリフだけでなく、ヴィラン側の悪意に満ちたセリフもあり迫力とともに原画を楽しめます!
壁面にはコミックス表紙・扉絵のデジタルアートもありました。
最後に来場特典・グッズショップ
最後に出口でQRコードのついたチケットを見せると特製リーフレットがもらえます。
※チケット失くさないよう注意です!
こちらは表紙のエピソードの一部がカラーで読めるリーフレットとなっています。オリジナルの広告が入っていて面白かったです。
その先がグッズショップになっています。こちらも規制入場でしたが並ばない割にショップ内は混雑してました。
グッズショップのみの利用ができないのと、入店の際に強制的に渡される買い物かご(しかも大きいやつ)が邪魔なのは少し難点でした。
感想まとめ 原画ってすばらしい
ヒロアカは絵が好きというよりキャラクターが好きでアニメで見ていたのですが、原画展に行ったことで改めて作者さまのスゴさを実感しました。
ヒロアカのキャラはデフォルメ系なのでシンプルな絵に思いがちですが、原作はめちゃめちゃ線が細かいしすごく書き込んであって綺麗です。全体的に絵がうますぎるんですけど、とくに筋肉の動きというか人の体を描くのがうますぎると改めて思いました。これをコミックスの小さな紙面で見るなんてもったいないなーと思ってしまうほどでした。特にバトルシーンの迫力は圧巻でしたね!
↑この荼毘とかすごく細かく書き込まれてて、やっぱすごいなあと。スマホの画質じゃ伝えられない!
展示自体もヒロアカらしい会場づくりがされていて楽しかったです。一番新しいところで29巻の原画もあり見ごたえたっぷりでした。
ヒロアカ展、とても充実の内容でした。興味のある方はぜひ足を運んでみてください!
ヒロアカ展コラボカフェの記事を書きました。こちらも読んでいただけると嬉しいです!
瀬戸内アート旅:直島銭湯「I♥湯」
直島でアート作品をまわったあと、フェリーまでの時間に直島銭湯「I♥湯」にいってきました。
直島銭湯「I♥湯」
アーティスト大竹伸朗が手掛けた銭湯。実際に入浴することができます!
まず外観からして銭湯っぽくない!
建物の前に大きなヤシの木があって手前には池?水槽?があります。
壁のタイルもカラフルでオリエンタルなかんじ。看板やらオブジェやら色んなものが集められていてごちゃごちゃ感が楽しいです。何があるのかじっくり探すのも面白い。
中に入ると手狭な玄関にげた箱が並んでいます。
建物の中もごちゃごちゃと楽しい空間。でもしっかり銭湯!
靴を脱いで入ると、すぐに男湯・女湯ののれんがあります。
脱衣所は割と普通で綺麗な感じでした。縦長のお部屋に脱衣かごが並んでいます。
お風呂場に入ると大きなゾウのオブジェがいました!しかも博文館にいるようなリアルなゾウ。男湯と女湯を区切る壁の上におり、のしのしと歩いているみたいでした。
湯船もアートになっていて、子どものころに集めたプラスチックのおもちゃやシールを集めてガラスで固めたような湯船になっています。こういうの好きだったなーなんて思い出します。
シャワー台も、お湯を出すボタンのところにキラキラのシールみたいなものが埋め込んでありました。台ごとに違うみたいです。
壁や天井にもアートが描かれているので鑑賞しながらお風呂につかることができます。なんとも面白い体験でした!
一見「なんだこれ?」と思うような不思議な建物なんですが、アート作品としての異質さを放ちながらも、銭湯という機能を持って人々の日常に溶けこんでいるのが面白いと思いました。
アートを見ながら実際にお風呂にはいれるというのも、お風呂文化のある日本ならではだし新鮮な体験だと思います。
アートって何となく敷居が高いというかとっつきにくいイメージがあるけど、それを取り払うような作品だなと感じました!
瀬戸内アート旅:家プロジェクト(角屋・南寺・護王神社・石橋・碁会所・はいしゃ)
2016年、直島の家プロジェクトに行きました。
共通チケットでまわれる6か所は全制覇。(内藤礼さんの《きんざ》は完全予約制のため都合が合いませんでした。)
厳粛なアートから秘密基地のような場所までさまざまでとても楽しかったです。
共通チケットはパンフレット状になっていて、行くとスタンプを押してくれます。まだ大事にとっておりますよ!
今回はその「角屋」「南寺」「護王神社」「石橋」「碁会所」「はいしゃ」について書いていきます。
家プロジェクトとは?
香川県直島の本村地区の空き家を使ってアーティストが作品を作った施設。作品は町に点在し、家の中に作品があるものもあれば家の空間自体がアートとなっている場所もあります。現在は「角屋」「南寺」「きんざ」「護王神社」「石橋」「碁会所」「はいしゃ」の7軒が公開されています。
角屋
宮島達男《Sea of Time'98》 photo:鈴木研一
アーカイブ・シリーズ 第8回宮島達男「角屋」"Sea of Time '98 " | ブログ | ベネッセアートサイト直島 (benesse-artsite.jp)
直島家プロジェクトの中でも「角屋」は私にかなりインパクトを与えました。
この作品を見て宮島達男さんが好きになったんだよな。
それより前に東京都現代美術館の《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》を見ているんですが、そのときは作者まで認識しておらず…。
《Sea of Time '98》は「角屋」の部屋の一室にプールのように水が張られていて、その中に散りばめられたLEDカウンターが数字をカウントしているという作品。カウントのスピードは個々に異なり、1~9までをカウントし0で暗転を繰り返す。これが生と死を表しています。
白壁の和風建築(土蔵造り?)の中に現代的なLED作品というギャップも印象的でしたし、古くからある建物の中でまばゆい光を放つ数字たちは遥か昔から静かな呼吸を続けているようでした。
現代アートって歴史や社会情勢への問いかけだったり、アートに対するアート!(アートの過去の概念をぶち壊す!)みたいな作品が多い印象だったけど、この作品は前衛的でありつつもテーマが根本的でシンプルなところが好きです。
南寺
深い色の木でできた木造の平屋。この中でジェームズ・タレルの作品「Backside of Moon」が体験できます。設計は安藤忠雄。
建物に入ると中は真っ暗。目を閉じているか開けているか分からないほどの暗闇です。くねくねとした狭い通路を手摺の感覚のみを頼りに進んでいくと、広い空間に出ます。(といっても何も見えませんが。)そこでベンチに座り前方を見つめるように言われます。
暗闇を見つめること15分ほど。すると何も見えなかった前方にぼうっと光る大きな窓が見えてきます。
窓の奥は壁になっており、間を見下ろすとドライアイスのようにぼやっと煙っています。
見えなかったはずのものが見えてくる。そんなことがあるのかという驚きと、こんな体験ここでしかできない!という感動がありました。
「今見えているものがすべての姿じゃないのかも」そんな風に思わせられます。
感覚を研ぎ澄ます大切さを教えてくれるような作品です。
※ただし暗いの苦手な方は注意です。友達は「発狂しそうだった」と言っておりました。
護王神社
Appropriate Proportion-J — Hiroshi Sugimoto (sugimotohiroshi.com)
元々この地にあった神社の改築に合わせて作られたアート作品。設計は杉本博司。
特徴的なのが本堂に続くガラスの階段。水を空中で固めたような、溶けかけた氷のようなかたちをしています。この階段は地下の石室までつながっています。
石室へは右手の洞窟のようなところから入ることができます。
石室の内部はぽっかりとあいた空間になっており、本堂へ延びる階段の上部からガラスを通してキラキラとした光が入ってきます。
Appropriate Proportion-J — Hiroshi Sugimoto (sugimotohiroshi.com)
一見どこにでもあるこじんまりした神社なのですが、この階段の異質さがすごくアートっぽいと思いました。石室の中は古代遺跡(ピラミッドとか古墳)に入ったような感覚を味わえます。
本堂と地下を結ぶ階段ですが、通り道が正面の巨大な一枚岩でふさがれているため人が通ることはできません。ここを通れるのは肉体を持たない神様や霊体なのかしら?
作品名は「Appropriate Proportion」。直訳すると「適切なかたち」。この作品が杉本博司が考える「神様の祀られる場所としての適切なかたち」を表しているのでしょうか。
石橋
2001年まで個人宅であった石橋家の家屋を再建。千住博の「ザ・フォールズ」「空(くう)の庭」があります。
昔ながらの雰囲気を残すこの家は寺院のような神聖さとそこで過ごした人々の温かさが感じられます。この土地での暮らしを感じられる、町に馴染んだ作品です。
碁会所
2つの小さな和室を屋根でつないだような不思議な建物。畳に配置された椿は須田悦弘の作品。
私が見たとき、この椿は生花で毎日新しいものに変えているんだと思っていました。でもこれ、彫刻作品なんですよね。精巧すぎて全く分かりませんでした、、、!
作品の椿の美しさもさることながら、この空間自体が作品になっているその空気を感じていただきたいです。
はいしゃ
歯科医院だった場所を一軒まるごと作品化した建物。大竹伸朗「舌上夢/ボッコン覗」。
ネオン看板があったり自由の女神があったり、絵画も彫刻も昭和レトロもアメリカンも色んなものを詰め込んだ感じです。
中はごちゃごちゃとしていて至る所がアートになっています。まるでガラクタを集めた秘密基地みたいな。「ここにこんなのがある!」と内部を探索する楽しさがありました。アート好きじゃない方でも直感的に楽しめる場所だと思います!
当時印象に残ったのは「角屋」「南寺」でしたが、作品の背景やアーティストについて知ると全部もう一回まわりたい!と思ってしまいますね。4年経った今でもとても印象に残っていて、本当にいい旅だったなと思います。
次こそは「きんざ」に行きたいです。あと、犬島の家プロジェクトにも行きたい!
瀬戸内アート旅:はじめに/豊島美術館
はじめに
2016年に直島と豊島に行って、現代アートを巡りました。
その時の旅行は美術館が目的ではなく岡山の倉敷観光がメインで、友達が「島に行きたい」というので足をのばしたという感じでした。
もともと現代アートは好きだったのですが、その頃はとりあえず名前だけ知ってるから行ってみようとか、観光スポットだし面白そうだから行ってみようという動機でした。なにしろ瀬戸内が日本の現代アートにおけるキープレイスなことも知らなかった。
それが最近美術館に行くようになって、「あの人の作品だったのか!」とか「名だたる建築家が作った美術館だったのか!」とか、それらの価値をあとから知ることが多くて、ほんとにいい経験だったんだなと思う。
現代アートに詳しくない当時でもその旅は本当に素晴らしいと感じたし、また訪れたい場所がいくつもできました。
今回はそれらの瀬戸内アート巡りの記録を書いていこうと思います。
豊島美術館
その旅の中で一番感動したのが豊島美術館でした。こんなに美しい場所があるのかと。今まで見た中で一番好きな美術館になりました。
概要
瀬戸内海に浮かぶ豊島。その広大な棚田の中にしずかに佇む美術館。
アーティスト内田礼の作品《母型》が恒久展示されています。
設計は西沢立衛。SANAAとして〈金沢21世紀美術館〉〈ルーブル=ランス〉などを手掛けています。
棚田の中に落ちた巨大な水滴のような白い物体が豊島美術館。グレーの四角いファザードが入り口になっています。
靴を脱いで中に入ると、白く柔らかな空間が広がっています。
天井には丸い開口部があり、外とを隔てるものがないため自然の光が差し込み風が入ってくる。開口部の下には透明のビーズがついた細い糸がさがっていて、風に揺れています。
床には白いビー玉のような装置があり、小さな水滴が湧いては流れていく。ゆっくり流れるものもあればすーっと滑るように流れ、水たまりに合流するものもある。
心が研ぎ澄まされるような作品でした。うまく言えないけれど感覚に訴えてくる作品というか。コンクリートのなめらかな曲線・造形の美しさもさることながら、自然と調和しともに呼吸しているような空間がとても素晴らしかった。流れる水を見ているだけでいつまでもいられそうだと思いました。
無機質で、温かくて、柔らかくて、清潔で、鑑賞者を包み込むような空間と自然の中に溶け込むような感覚。これが内田礼さんのイメージする”母”なのかもしれません。
カフェ&ショップの造形もすてき。窓から自然光が差し込みます。
島の中でも高い場所に位置する美術館。
新緑の棚田と瀬戸内海が見渡せます。
また訪れたいな。
千葉市美術館の地下でちょい呑み!「酒彩亭 盛」に行ってきました。
千葉市美術館で『宮島達男|クロニクル』展を見た帰り。グッズショップを出ると、なにやら地下で居酒屋さんが営業中らしい。
せっかくだからビール飲んで帰ろうと思い行ってみることに。
注文の仕方が独特なので、もしこれから行かれる方は参考にしてもらいたいです。
店内は長テーブル2台と4人席テーブル一台で15席前後。(今は席数減らしてるのかもしれませんね)
アクリルパーテーションでしっかりコロナ対策されていました。
店内には大きなテレビがあって、民放が流れてます。その時はフジ?がやってました。
こちらは料理ができたらカウンターに取りに行くセルフスタイルのお店。調味料・お冷などもセルフ。
注文の仕方
こちらのお店注文方法が独特で、初来店の私はかなり戸惑ったのでくわしいやり方を書いておきます。
①最初にレジでプリペイドカードを買う。(500円)
→基本的にこのカードにチャージして支払いをする。カードを購入するとサービス小鉢(お通し)がもらえる。
②チャージ機でカードにお金を入れる。
→チャージは1000円単位。おつりは出ないので注意!
③レジで注文する。プリペイドカードで都度支払い。番号札を渡される。
④番号が呼ばれたらカウンターに注文の品を取りに行く。
私はまずレジでカードを買うことが分からずチャージ機の前でうろうろしていました。店員さん助けてくれてありがとう。
まずはビールとサービス小鉢をいただきました!
500円でこのお通しがでてくると思ったら安いよなあ。
ほっこりするお味で美味しい。
お酒はビール・ハイボールが400円、サワーが200円。(地酒・焼酎・ワインもありました)
おつまみは200~400円程度。安い!
量も小ぶりで色んな種類が食べられるのでいいかもなあと思いました。
・注文したもの
サービス小鉢 500円(プリペイドカード代)
ビール 400円
鶏のから揚げ 300円
牛肉と大根の煮物? 300円
計1500円
感想
昔ながらの居酒屋さんという雰囲気でお値段もお手頃なので、まさにちょい呑みにいいなと思いました。お味もおばあちゃんちで作ってもらうような落ち着いた味でのんべえの好み分かってるなあと。
ただ、プリペイド式&千円単位のチャージは地元民向けだなと思いました。
わたしは千葉にはめったに行かないうえ一人で来店したのでチャージした千円を使い切らなければなりませんでした。カードに付いてくるサービス小鉢もあったので、1杯さくっと呑んで帰るつもりがそこそこお腹いっぱいになってしまいました…(笑)
2,3人で行くとちょうどいいかもしれませんね!
とはいえ鑑賞後の一杯は最高でしたね。ハマりそうです。
宮島達男《カウンター・ヴォイド》が期間限定で点灯!
宮島達男のパブリックアート《カウンター・ヴォイド》が期間限定で再点灯されるということで、六本木に足を運びました!
カウンター・ヴォイド(Counter Void)とは?
2003年にテレビ朝日の壁面に設置された宮島達男のアート作品。
交差点に面した壁面にデジタル数字が光り、数字をカウントしながら左に流れていく。
2011年3/13に消灯。3.11の東日本大震災により大勢の人が亡くなった黙祷・鎮魂の意を込めて消したという。
今回は森美術館で開催されている「STARS展」と合わせて期間限定で点灯されます。
期間は
2020年7月31日~8月8日
9月~12月の第一土曜日
12月24日~1月3日
点灯時間は17:00~22:00です。
点灯前から待機していたのは私含め2人だったのですが、
17時になると人が集まってきました!
特に横断歩道の前が人気でみんなが写真を撮りまくってました。
街に溶け込んでいて、静かに存在を示している作品だなと感じました。
私が見たのは初めてですが、この場所のアイデンティティのような感じがしました。ヒルズ正面のクモのオブジェもそうだけど、六本木と言えばこれあるよね、みたいな。テレビ朝日のところ数字が点灯されているよね。っていう。
六本木といえば大人が集まるにぎやかな街ですが、ここに生と死がテーマのこの作品があるという表裏一体さがとても素敵です。
ぜひ足を運んでみてください!
六本木森美術館で行われているSTARS展のレビューも書いています。
よろしければ読んでいただけますと嬉しいです!